雌雄でまったく姿が異り、オスは通常の蛾の姿をしているが、メスは異形で、翅も脚もなくウジ状。
オスは全体に暗褐色。前翅の前縁部と後縁部は茶色で、翅脈に沿って黒色線がある。体は長毛におおわれ、触角は羽毛状。メスは乳白色で、頭部周辺が茶褐色。太い円筒形のウジ状。
成虫の姿よりも、幼虫の作る巣が「
蓑虫」としてなじみ深い。
平地〜低山地に生息する。かつては都市周辺でもふつうに見られたが、1990年代半ばに中国、東南アジア等に分布する寄生バエ(オオミノガヤドリバエ
Nealsomyia rufella )が国内に侵入し、その影響で激減した。近年は、個体数が徐々に回復しつつある。
幼虫は、サクラ、クリ、ヌルデなど、多くの広葉樹の葉を食べて育つ。
年1化。幼虫で越冬する。
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♂飼育個体(奈良県生駒市産) 2017.5.30
幼虫〜蛹時代を過ごしたミノにとまるオス。右端(ミノがぶら下がった状態では下部)にミノからの脱出口があり、蛹殻が残っている。
♂飼育個体(奈良県生駒市産) 2017.5.30
オスは、触角がウサギの耳のように立派で、頭部や脚も含めて柔らかな毛で覆われており、どこか哺乳類のような趣がある。
♂飼育個体(奈良県生駒市産) 2017.5.30
♂飼育個体(奈良県生駒市産) 2017.5.30
ミノの中で成虫になり、ミノの下部の穴から頭部を出してオスを呼ぶメス。メスは、生涯、ミノの外に出ることはない。
♀飼育個体(奈良県奈良市産) 2016.5.22
ミノから頭部を出したメスを放置すると、太い胴部を少しずつミノの外に出していき、とうとうそれ以上出ることも引っ込むこともできなくなってしまった。おそらく、飼育下での異常行動と思われる。
♀飼育個体(奈良県奈良市産) 2016.5.22
メスの腹面。脚の痕跡が確認できる。
♀飼育個体(奈良県奈良市産) 2016.5.22
♀飼育個体(奈良県奈良市産) 2016.5.22