秋の原っぱや街中には、アカトンボがたくさん飛んでいますね。みんな同じように見えるアカトンボたちですが、実はいろいろな種類がまじっています。
ここでは、アカトンボ・ウォッチングの入門編として、身近に見られるアカトンボの代表種を写真図鑑的にご紹介します。
■一番多い、アキアカネ
アカトンボの中で見かける機会が一番多く、なじみ深いのがこの種類。腹部だけが赤くなって、頭部や胸は赤くなりません。夏の間は山ですごし(その頃にはまだ体が色づいていません)、秋になると平地に降りてきます。
 
アキアカネは街中にも飛んでいる代表的なアカトンボ.
■全身が真っ赤、ナツアカネ
名前からは、夏に現れるように思いますが、そうではなく、ほかのアカトンボと同様、秋に色づき、活動します。アキアカネよりも少し小ぶりで、なんといっても、からだ全体が赤くなるのが特徴です。

複眼や鼻先も朱色に染まるナツアカネ.
■顔に黒紋、マユタテアカネ
遠目に見ると、胸部が少し黒っぽい感じのアカトンボ。近くで見ると、鼻先の黒紋が目立ちます。林の周辺などでよく見られます。
よく似た種類に、顔が青白い「マイコアカネ」や、湿地に多い「ヒメアカネ」がいます。
 
顔にある「眉」のような黒紋が特徴のマユタテアカネ. でも,眉というより鼻ひげといったほうがピッタリかも.
■はねの先が黒い、リスアカネ
翅の先端部が黒褐色になったアカトンボ。まわりに樹木がよく茂った丘陵地の池などで見られます。
よく似た種類に、全身が赤くなる「コノシメトンボ」、ぜんぜん赤くならない「ノシメトンボ」がいます。

■はねの付け根がオレンジ、ネキトンボ
前種とは逆に、こちらは翅の付け根がオレンジ色。林が近くにあり沈水植物の多い池などで見られますが、あまり多くありません。

■アカトンボと間違われがちなトンボ2種
厳密な意味でのアカトンボとは、分類上アカトンボ属(アカネ属)と呼ばれる仲間に含まれる種類をさしますが、そうではないのにアカトンボの仲間だと思わがちなのがこの2種です。
 
(左)ショウジョウトンボ:アカトンボ以上に全身真っ赤で、腹部がちょっと扁平. 夏場に多い種類です.
(右)ウスバキトンボ:黄色っぽくて翅がちょっと幅広. 南方系の種類で秋に数が増えます.
ここでは、アカトンボの仲間をいろいろとご紹介しました。今度、どこかでアカトンボを見かけたら、「いったいなんの種類なんだろう‥」と、じっくり観察してみてください。
※今回ご紹介した見分け方は成熟したオスを前提にしています。未成熟なものやメスについてはもっと区別が難しくなります。
(初出 「むし探検メール No.8」)
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