ガーデニングを楽しむ人が増えていますが、植物には昆虫が付き物ですね。
好むと好まざるとにかかわらず、どこからともなくやって来る昆虫たち。もちろん、そのほとんどは大切な植物の栄養を搾取してしまう害虫です。でも、ぜひ、少々のことには目を瞑り、ちょこまかと動きまわる小さな命たちにも暖かい目を向けてみましょう。
今回は、良い虫も悪い虫もひっくるめて、春から初夏にかけて、ガーデニングのおまけで観察できる、身近な虫たちの世界をご紹介します。

 
花壇には、花蜂や花虻の仲間がいっぱい。よく見ると、たくさんの種類が入り乱れて飛んでいます。いったい何種類の昆虫がいるのか‥と、虫たちを見比べながら観察するのも楽しみです。(左: ヒゲナガハナバチの一種のメス 右: アシブトハナバチ)。
 
日当りのいい場所には、ぜひ柑橘類を植えましょう。そこがもしビル街の真ん中であっても、必ず可憐なアゲハチョウが卵を産みに来てくれます

ユズの葉に産み付けられた卵から、今まさにアゲハチョウの幼虫が誕生しました。
孵化した幼虫は、まず、自分が入っていた卵の殻をおいしそうにムシャムシャ平らげてしまいます。

プランターで羽化したアゲハチョウ。幼虫は、蛹になるときには、たいてい生まれ育った木を離れますが、そんなに遠くにはいかないので、日ごろの行いがいいとこんな場面に出会うことも。
 
パセリに付いたキアゲハの幼虫。ミツバやパセリを植えておくと、キアゲハが産卵にやって来ます。最初は普通のアゲハとあまり変わらない姿ですが、大きくなると見事な縞模様に。
しかし、ミカンとは違って食草一株の葉の量が少ないので、幼虫たちは育ち切れずに飢えてしまうこともしばしばです。
 
パンジーやビオラに刺のある黒っぽい幼虫が付いていたら、それはツマグロヒョウモンの幼虫です。葉っぱを害するのは確かですが、トゲには危険はありません。いつの日かこの美しい蝶に出会うために、ぜひ見逃してあげましょう。
 
トマト、ジャガイモなど、野菜類の葉っぱにひっつき虫のような虫が‥。これはニジュウヤホシテントウの幼虫です。ツマグロヒョウモンと同様、葉っぱは食べるけど、トゲには危険はありません。(さわってみるとフニャフニャです)

アブラムシのコロニーに乱入中のナナホシテントウの幼虫。同じテントウムシでも、こちらは、植物の害虫であるアブラムシを食べるので、人間にとっては益虫です。

今、羽化したばかりのナナホシテントウ。美しい黄色の上翅には、やがて黒班が浮かび上がり、真っ赤に発色して、おなじみのテントウムシが出来あがります。
 
左: これもイイモノ。アブラムシを食べて育ったヒラタアブの一種の蛹です。
右: これはワルモノ。アブラナ科植物の葉を食べるニホンカブラハバチの幼虫。
 
左: 塀を徘徊しているのは、アリのものまね名人、アリグモ。
右: 葉っぱの上で脚を広げて獲物を待ち構えているハナグモ。
クモの仲間は害虫をせっせと食べてくれるので大切にしましょう。(もちろん益虫を食べてしまうこともありますが‥)
 
人家の壁に巣を造ることに決めたミカドトックリバチ。攻撃性は低いので、こういうシーンに遭遇したらぜひ腰を据えて観察しましょう。どこかから泥を運んで来ては、少しずつ作品を仕上げていきます。

とっくり型の巣の形ができあがり、エサとなるガの幼虫を運び入れると、お尻をつっこんで卵をひとつだけ産み付けます。
葉を食害するガの幼虫を集めてくれるので、これもやっぱりイイモノですね。
 
左: ハナムグリは、花粉と蜜が大好物です。
右:平和に見えるこのシーン‥。でも、この小さな甲虫たちは、衣類や食品の害虫として有名なヒメマルカツオブシムシ、筋金入りのワルモノです。服に付けて家の中に入ってしまわないようご注意を。(食害するのは幼虫です)

雨上がりの湿った地面をノロノロと這うクロイロコウガイビルの幼体。見た目の評価については賛否両論あるでしょうが、ナメクジを食べてくれる、ということで、これも立派なガーデナーの味方です。
(初出 「むし探検メール No.50」)
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