ほんとうはまわりにいっぱい潜んでいるのに見逃してしまいがちな昆虫たち。かくれんぼ上手な彼らを効率的に探し出す方法があります。
それは‥ 名づけて「植物集中観察」法。
なんのことはない、漫然と虫を探すのではなく、ある植物にポイントを絞って、徹底的にウォッチングしましょう、ということです。
観察のポイントを絞るだけで集中力が増して、次々にいろいろな昆虫たちを見つけ出すことができるのです。
植物集中観察法で大切なのは、その季節ごとに昆虫の集まりやすい植物を適切に選ぶこと。
初夏のオススメ植物は「イタドリ」。少し自然の残っているところなら、どこにでもはえている植物です。
これがイタドリ。1.5mぐらいまでの高さで葉を茂らせている。葉は卵形で10cm前後。茎は赤みがかっている。
7月以降になると白い花をつけるが、今の季節は葉っぱだけ。
イタドリの群落。林縁や川沿いの草原でよく見られる。
そうか、これがイタドリか‥と近づくと‥
ほら、もう見つかった。左はシャクガの仲間。右はヤブキリの幼虫。
葉っぱの表面だけでなく、茎や葉の裏、新芽など、いろいろな部分に注目しましょう。
さて、今日は、イタドリだけで何種類の昆虫たちが見つかるかな?
イタドリ限定昆虫図鑑
大阪・奈良県境の生駒山地の一角で行ったイタドリ・ウォッチングの成果です。
イタドリ・ファミリーの代表選手、イタドリハムシ。右はその幼虫。
これも常連、まるで爪楊枝のようなエダナナフシの幼虫。目が慣れると次々に見つかります。
ひとつの場所でじっくり観察していると、チョウが飛んでくることもよくあります。そんなふうに向こうからやってきたチョウはあまり逃げないので、ゆっくり観察できます。
(左:ヒメウラナミジャノメ 右:ダイミョウセセリ)
葉っぱを隠れ家にして獲物を狙うクモたち。右のクモは、イタドリの新葉のカールをうまく利用しています。
葉っぱを巻いて幼虫のためのゆりかごを作るので有名なオトシブミの仲間もよく見られます。これはカシルリオトシブミ。右はゆりかごを作り始めたメス。葉っぱに切れ込みを入れています。
できあがったゆりかご。
葉っぱの上ではバッタの幼虫やヨコバイの仲間をよく見かけます。どちらも体長わずか5ミリ。
茎のミクロ世界も見逃せません。
イタドリの葉の付け根からは蜜が出て、アリが寄ってきます。右は、茎にくっついていたとても小さなミノムシ。
コメツキムシを捕まえたオオイシアブ。時にはこんな決定的瞬間に出会えることも。
今回はイタドリにスポットをあてましたが、そのほかにも観察したい植物はいっぱいあります。 みなさんも、自分なりのオススメ植物を見つけてみてください。
(初出 「むし探検メール No.4」)
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