バッタやキリギリスといえば、夏から秋にかけて活躍する昆虫ですが、その子供たちのほとんどは、今の季節になると、もう卵から生まれて、草むらのあちこちにひそんでいます。
今回は、その気になって探さないと目に付かない、かわいい昆虫の幼虫たちをご紹介します。
■バッタ・イナゴの仲間の子供たち
これは、コバネイナゴの赤ちゃん。田んぼのそばの草間でよく見つかります。初令幼虫は、体が半分透き通るようにも見えます。
左はツチイナゴ。複眼の下に黒筋があって、まるで涙目みたいに見えるのが特徴。幼虫のうちは緑色で、成虫になると茶色系に変身します。
右はツマグロイナゴ。翅芽(しが=翅のもとになる部分)ができてきた終令幼虫。
林縁の草のてっぺんによくチョコンと乗っているのは、フキバッタの仲間の幼虫。
右は、ハエトリグモに捕まってしまったところ。バッタの幼虫が多いこの季節は、捕食者にとっても書き入れ時。
オンブバッタの赤ちゃんは、やっぱり親に似てとんがり顔。
■キリギリスの仲間の子供たち
左はヤブキリの幼虫。花粉が好きなのか、花の上に乗っているのをよく見かけます。
右はキリギリス。背中に2本の筋を持つことでヤブキリと見分けられます。(ヤブキリは筋が1本)
こちらは色黒のヒメギス。若令のうちは、かなり頭でっかち(左)だけど、成長するに連れてバランスがとれてきます。(右)
左は、林縁でよく見られるササキリの幼虫。親は緑色なのに、幼虫は黒っぽくて、顔だけオレンジ色をしています。
右はウスイロササキリ。湿った原っぱで見つかります。
左はアシグロツユムシ。親とは似ても似つかないまだら模様。
右はヘリグロツユムシ。後脚と触角を伸ばして、ちょっと擬態モード。
これは、クダマキモドキの仲間。脚が長くて、カッコいい。
■番外編
バッタの幼虫を探していると、こんな子供たちも見つかります。
ナナフシの仲間の幼虫は、動きがギクシャクしていてユーモラスです。
左は、エダナナフシ。前脚をピンと伸ばして、枝になっているつもり。
右は、ナナフシモドキ。触角の短いのが特徴です。
カマキリの幼虫は、鎌も、気性の荒さも一人前です。
左は、オオカマキリ。
右は、ハラビロカマキリ。危険を察するとお腹を反り返らせます。
■子供ではありません!!
あまりに小さいので、成虫なのに幼虫に間違えてしまいそうなバッタたちも紹介しておきましょう。
左は、ヒシバッタ。上から見ると、菱形をしているので、この名が付いています。大人でも体長1センチ前後しかありません。至るところで見られる種類で、体色や模様には様々なバリエーションがあります。
右は、トゲヒシバッタ。こちらは体長2センチ足らず。湿った草地で見られます。
いかがでしたでしょうか? 草むら幼稚園のラインナップ。
ぜひ皆さんも、魅力的な子供たちがいっぱいの、身近な自然の幼稚園を「そっと覗いて」みてください。
(初出 「むし探検メール No.15」)
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