昆虫採集・昆虫観察のガイド

むし探検ガイド

お昼休みに昆虫ウォッチング「アブラナ編」

菜園や花壇に植えられている植物の中にも、たくさんの昆虫たちを呼び寄せ、絶好の観察ポイントになるものがあります。
春、黄色い花を咲かせるアブラナ(菜の花)もそのひとつ。

ここでは、「お昼休みにもできる昆虫ウォッチング」を目指して、「限られた場所・限られた時間でどれだけたくさんの昆虫たちが観察できるか?」を試してみました。

お天気に恵まれた3月27日のお昼、12時半から1時過ぎまで、約30分間の観察結果をドキュメンタリー風にご紹介します。

アブラナが植えられた花壇
自然公園の入り口に植えられたアブラナ。狭い場所ながらも、一見しただけで、たくさんのアブやハチの仲間が飛びかっており、絶好の観察ポイントであることがわかりました。
さて、この小さなスペースで、いったいどんな昆虫たちに出会えるのでしょうか‥?



ニホンミツバチ
12:33 最初の被写体はニホンミツバチ。集めた花粉でつくった花粉ダンゴを後肢にくっつけています。ミツバチの仲間は個体数も多く、菜の花ワールドの主役です。

ヒメハナバチオオハナアブ
12:35 (左)花の中に頭を突っ込むフカイヒメハナバチ(?)。コハナバチやヒメハナバチの仲間はたくさん見られますが、似たような種類が多くて同定に苦労します。
12:36 (右)大型のハナアブ、オオハナアブ。今回の観察中に現れたのはこの1回だけ。

ヒメフンバエヒメハナバチ
12:37 (左)真正面からのこんな写真しか撮れなかったヒメフンバエ。2回登場したけど、敏感で動きが速く、撮影的には惨敗しました。
12:38 (右)それまで活発だったのに何故かこの場所でじっとしてしまったシロヤヨイヒメハナバチ(?)。デジカメを警戒しているようにも見えました。


アシブトハナアブツマグロキンバエ
12:44 (左)腰の黄色い三角紋が特徴のアシブトハナアブ。アブ系の中では一番多く見られました。
12:45 (右)筋模様の入った複眼が特徴のツマグロキンバエ。見られたのは一個体だけですが、長い時間、同じ花に居座っていました。


オオクロバエコマバムツモンヒラタアブ
12:46 (左)突然現れたオオクロバエ。地味ながらも大きいのでけっこう目立った存在です。
12:50 (右)隅っこの方の花に控えめにとまっていたコマバムツモンヒラタアブ。ヒラタアブの仲間はもっとたくさん見られるかと思いましたが、今回確認できたのはこの一種だけ。


ツマグロオオヨコバイ
12:54 いつの間にか登場していたツマグロオオヨコバイ。花粉や蜜が目当てではないので、たまたまとまっていただけのようです。


ジュウシホシテントウホソアシナガバチ
12:59 (左)葉の裏に隠れていたジュウシホシテントウを発見。こちらの気配を察して落下したけど、葉っぱのネットに着地したのでなんとか撮影できました。
13:01 (右)観察も終盤にさしかかった頃、突然飛来し、一瞬にして去っていったホソアシナガバチ。あわてて撮影したけど、みごとにピンボケ。


セイヨウミツバチ
13:06 ナノハナ観察の最後を飾るのはセイヨウミツバチ。ニホンミツバチより少し大きくて赤っぽく、肢に作る花粉ダンゴもちょっと大きめのようです。

上記のほかに、見られた昆虫たち
モンキチョウ ‥ 1回だけ飛来し、一度も花にとまることなく飛び去ってしまいました。チョウの仲間は、暖かくなるにつれて見られる種類が増えますが、今回は、このモンキチョウの1種類だけ。
ビロードツリアブ ‥ 春限定のアブ。花壇の中のほかの花では吸蜜していたのに、ついにアブラナには一度も来ませんでした。



いかがでしたでしょうか? 小さなアブラナ群落でのミニ・ウォッチング。
日頃、見過ごしている場所でも、少しだけ時間をとって観察すると、たくさんの昆虫たちの営みが見えてきます。
これからのシーズン、みなさんも、お花見ついでに、手近な場所での「お虫見」にチャレンジしてみてください。


 (初出 「むし探検メール No.25」)