都会の朝、大通りを行きかうサラリーマンやOLたち。
華やかなショーウインドーにちらっと目を向けながらも、たいていはオフィス目指し足早に通り過ぎていく。
そんな中に、じっとウインドーに見入って動かない人影が‥。 おもむろにバッグからデジカメを取り出すと、最新ファッションで着飾ったマネキンを撮影するでもなく、何故か、窓枠の隅にレンズを向けている。
そんな怪しい人物を見かけたら‥ ウン、たぶんきっとそれは、むし探検仲間に違いありません。
朝のショーウインドーは、都会の隠れたむし探検スポット。
その気になって探せば、夜のうちにウインドーの光に惹かれてやって来たさまざまな虫たちを発見することができます。
今回は、園長が通勤途中に、大阪のメインストリート御堂筋で見つけた昆虫たちをご紹介します。
朝の御堂筋。開店を待つショップのウインドーで、むし探検ができることを知る人は少ない。
アップルストアで見つけたコブノメイガ。(9月中旬)
左:幾何学的なデザインのアオアツバ。(6月下旬)
右:翅を震わせるコウスチャヤガ。(5月中旬)
背中に妙な毛束を持つイチジクキンウワバ。(11月上旬)
開帳4cmほどもあるヨモギエダシャク。こんなのがとまっているとさすがに気付く人が多いが、みんな見て見ぬ風に通り過ぎていく。
よく見ると、とても味のあるデザインなのにね‥。(10月上旬)
左:鏡面に映って2匹に見えるカブラヤガ。(10月中旬)
右:とても蛾の仲間には見えないトリバガの一種。(10月下旬)
左:翅の小白点がかわいらしいヒメシロテンコヤガ。(11月上旬)
右:スッキリした白線模様を持つシロオビノメイガ。(9月中旬)
誇らしげに翅を拡げてとまるマメノメイガ。(10月中旬)
開帳8cmを超える大型種 ムクゲコノハ。前翅の下には、朱、黒、ブルーに塗り分けられた美しい後翅が隠されている。(11月上旬)
※下の写真は、夜の雑木林で撮影した後翅を見せるムクゲコノハ
アップすると天女に見えるマエアカスカシノメイガ。幼虫はキンモクセイなどの葉を食べるので、都市公園の定番種のひとつ。(6月上旬)
左:このソトウスグロアツバの目が赤いのは、たまたま複眼の上にダニがくっついているせい。(7月中旬)
右:ウインドーの内側にとまっていたイチモンジセセリ。(8月下旬)
ウインドー直下の大理石で見つけたシロテンハナムグリ。昼間は、街路樹の間を飛び回っているのを見かける。(9月下旬)
ショーウインドーの上部にとまっていたホソヘリカメムシ。デジカメを望遠側いっぱいにして、さらに腕をいっぱいに伸ばして、やっとこさ撮影成功。(10月中旬)
ホソヒラタアブは、一見ハチっぽいけど人畜無害。幼虫は植物につくアブラムシを食べるので、都会の生物農薬的存在といえる。(10月下旬)
まるで枯葉の切れ端のようなナミテンアツバ。和風美の極致。(10月中旬)
ディスプレーのスカートとコーディネートしているクロハグルマエダシャク。(7月中旬)
遠くからだと窓枠にひっかかったゴミのように見えるヤマトホソヤガ。こういうのにビビッと来るようになったらウインドーウォッチングも一人前。(9月下旬)
ちょっとブーメランっぽいエグリヅマエダシャク。開張4cmを超える大物。(5月中旬)
いかがでしたでしょうか? ショーウインドーでのむし探検。
見つかる昆虫の数は決して多くはありませんが、毎日こまめに探していると、思わぬ虫に遭遇して、まるで宝物を発見したようなシアワセにひたることができます。
みなさんも、春になったら、ぜひチャレンジしてみてください。
(でも、くれぐれも自動車に轢かれないように気をつけて!)
(初出 「むし探検メール No.34・35」)
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