ちょうちょ ちょうちょ なのはにとまれ‥
と唱歌に歌われているのは、そう、たぶんモンシロチョウですね。
でも、身近に見られる白いチョウがいつもモンシロチョウだとは限りません。
特に、4月から5月にかけては、春にだけあらわれる種類も加わるので、一年の中で一番「白っぽい」チョウが豊富な季節です。
ここでは、身近な自然で見られる白い蝶の顔ぶれと見分け方をご紹介します。
■No.1 モンシロチョウ
菜の花畑やキャベツ畑のあたりをヒラヒラ飛んでいる白蝶は、正真正銘のモンシロチョウ。
明るく開けた環境を好みます。
前翅表面のはっきりした黒紋が特徴で、とまった時に見える後翅裏面には黒色部はほとんどありません。
ほかの種類とくらべると、なんとなく見た目がソフトな感じです。
■No.2 スジグロシロチョウ
山道や、公園などで、ちょっと薄暗いところを飛んでいる白蝶は、ほとんどがこのスジグロシロチョウ。
モンシロチョウと混同されていることが一番多いのはこの種類です。
はねの脈に沿って黒い筋があるのが特徴。季節によって模様が違い、春型は黒筋が強く、夏型は全体に白っぽくなります。
この蝶の隠れた特徴は「フォトジェニック」なこと。筋模様があるのでカメラのピントが合わせやすく、暗い場所に多いのでバックが適度に沈み、いい写真になることが多いようです。
■No.3 エゾスジグロシロチョウ
スジグロシロチョウとウリふたつで、それぞれに個体差や季節型もあるので、見分けるのが至難のワザなのがこのエゾスジグロシロチョウ。北海道に多く、本州では山間部や寒冷地でよく見られます。スジグロよりも、乾燥した明るい環境を好みます。
見分けるポイントは‥
スジグロシロチョウの場合は、はねのこの部分に細い黒筋が2本走っているけど、エゾスジグロの場合はこのようなハッキリした筋はありません。でも、これとて決定的な違いとはいえません。
エゾの方がちょっと小ぶりなこと、はねに丸みがあること、後翅の黒筋が先細りなことなどで総合的に判断するしかありません。
全体の雰囲気は、エゾの方が「かわいらしい」感じです。
※最近の研究では、国内のエゾスジグロシロチョウは、2種類に分かれているとされており、北海道東部に分布するものを従来名「エゾスジグロシロチョウ」と呼び、北海道南部から本州以南に分布するものを「ヤマトスジグロシロチョウ」と呼ぶことが提唱されています。
■No.4 ツマキチョウ
春にだけ見られるオシャレな白蝶。前翅の先が尖り、オスはその部分がオレンジ色になっています。後翅の裏面には網目模様があります。飛んでいるときには白っぽいのですが、とまると、この模様が枯れ草の中に溶け込んで、とても見つけにくくなります。
人里と野山の境目のあたりや、河原などでよく見られます。
ほかの白蝶にくらべてちょっと小さめなのと、あまり上下にゆれずに直線的に飛んでいくことで見分けられます。オスなら、目をこらせば、飛んでいるときにもはねのオレンジがわかります。
■No.5 モンキチョウのメス
モンキチョウは黄色っぽいものと思われがちです。オスは確かにそうなのですが、実は、メスには黄色型と白色型の2つのパターンがあり、白色型の方はモンシロチョウと間違えられていることがあります。
特徴は、はねを閉じたときに、前翅には黒紋が、後翅には褐色で縁どられた白紋が見えること。
公園や河原などの開けた明るい場所でよく飛んでいます。ほかの白蝶にくらべて飛翔力があって活発な感じです。
明るい野原で、黄色っぽいチョウが、白っぽいチョウを追いかけていたら、それはモンキチョウのオスと白色型メスだと思って間違いありません。
■No.6 ウスバシロチョウ
春の終わり、5月頃にだけ見られる白蝶。「シロチョウ」という名がついているけれど、分類上は、ここに紹介したほかの種類とは違ってアゲハチョウの仲間です。
北方系の種類で、東北日本や山間部で見られます。畑の周辺や林縁の草地を滑空しながらゆるやかに飛んでおり、生息地は限られるけれど、いるところには群れになってたくさんいます。
はねが半分透けたようになっていることと、翅脈が黒いこと、体にオレンジ色の毛がはえていることが特徴です。(北海道には、体の毛が白い「ヒメウスバシロチョウ」も住んでいます。)
さて、みなさんにはいくつ見分けられるでしょうか?
風の弱いお天気の日には、ぜひ、野に出て、白蝶たちを追いかけてみてください。
(初出 「むし探検メール No.2」)
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