★★ File6 ゼフィルスを求めて ★★★
ゼフィルス(Zephyrus)と呼ばれるチョウたちがいます。
一年に一度、梅雨の頃だけに現れるミドリシジミの仲間(およびその近縁種)のことで、ゼフィルスという呼び名は、ギリシャ語のZephyros(=西風の神)に由来しています。
多くは奥深い山や高原に生息していますが、東京近郊でも数種類のゼフィルスを観察することができます。
今回は、その可憐な姿を求めて、埼玉県さいたま市および入間市の公園を訪れました。
山の斜面に咲くクリの花。ゼフィルスの出現期に合わせるように満開を向かえ、日中はゼフィルスたちが吸蜜に訪れているのをよく見かけます。(入間市 6月中旬)
クリの花には、甲虫たちの姿もいっぱい。
左:ヨツスジハナカミキリ 右:トホシオサゾウムシ
(いずれも 入間市 6月中旬)
いましたいました‥ ゼフィルス2種のそろい踏み。
左がウラナミアカシジミ、右はアカシジミです。(入間市 6月中旬)
大きくて美麗なカタツムリの姿も。
触覚が立派な甲虫は、ヒゲナガハナノミです。(いずれも 入間市 6月上旬)
ほかのゼフィルスよりも少し早い時期に出現するウラゴマダラシジミ。幼虫のエサとなるイボタノキの周辺を活発に飛び回ります。
(入間市 6月上旬)
たくさんの蛾たちも、蝶に負けず劣らず個性的な姿を競っています。
左上:ウストビモンナミシャク 右上:ヒトツメカギバ
左下:ツマグロシロノメイガ(以上3種 入間市 6月上旬)
右下:カノコガ(さいたま市 6月中旬)
池端に茂るハンノキ。ゼフィルスの代表種 ミドリシジミは、このような環境に生息地しています。(さいたま市 6月中旬)
金緑に輝くミドリシジミのオス。朝のうちであれば、ハンノキ林の下草で翅を広げる姿が観察できます。(入間市 6月中旬)
これもミドリシジミのオス。翅の輝きは構造色なので、見る角度や日射の加減によって、色合いが変化します。
翅裏は茶色地に白い筋模様が入っています。(さいたま市 6月中旬)
こちらはミドリシジミのメス。青い紋を持つもの、赤い紋を持つもの、その両方が出るもの、無紋のもの、と いくつかのパターンがあります。
(左:さいたま市 6月中旬 右:入間市 6月中旬)
葉についた水分を吸うオオミドリシジミ。翅の表は金青色の輝きです。
(入間市 6月中旬)
(→ 長野県乗鞍高原で撮影したオオミドリシジミ )
左:シオヤトンボの交尾 (入間市 6月中旬)
右:ロウ物質で覆われたシロアシマルハバチの幼虫 (さいたま市 6月中旬)
左:コメツキムシを捕らえたオオイシアブ
右:小昆虫を食べるミカドガガンボ
(いずれも 入間市 6月中旬)
最も身近に見られるゼフィルス、ミズイロオナガシジミ。
都市部の公園にも生息しています。(さいたま市 6月中旬)
西日を浴びながらハンノキの梢で占有行動をとるミドリシジミ。
ミドリシジミは、日が傾きかける頃になると、翅をキラキラ輝かせながら樹上を活発に飛び回ります。(入間市 6月中旬)
(初出 「むし探検メール No.60」)
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