File12 春に酔う 多摩川河川敷(4月下旬)
山梨・埼玉県境の笠取山を源とする多摩川は、多摩丘陵や武蔵野台地を縫って流れくだり、東京湾に至ります。今回紹介する東京都羽村市はその中流域にあたり、川幅が大きく広がって、河川敷には豊かな自然が展開しています。
春が深まった4月の終わり、河川敷の原っぱや林で、虫たちのパフォーマンスを楽しみました。
のどかな春の日、温んだ水がゆったりと流れています。
上左:春の花上でよく見るモモブトカミキリモドキ
上右:越冬明けのキチョウ
下左:どこか妖精っぽいフタテンシロカギバ
下右:春限定のシロチョウの仲間、ツマキチョウ
荒れ野をヒュラヒュラと飛ぶギンイチモンジセセリ。茶色くて小さいので、飛んでいると景色にまぎれて見失ってしまうことも。
その名のとおり、後翅にスッキリ走る直線が印象的です(左下は産卵行動)。
イネ科植物の垂直の葉に集う虫たち。
上左:エゾナガウンカ 上右:フタトゲムギカスミカメ
下左:アシナガグモの一種 下右:クロヒラタヨコバイ
上:河川敷の草原。豪雨の時には冠水する運命にあります。
中:クサカゲロウの一種
下左:クロフトモモホソバエ 下右:ツルギアブの一種
水中の住人たち。川底の石をひっくり返して見つけました。
上:フタツメカワゲラの一種の幼虫
下左:シロタニガワカゲロウの幼虫 下右:ヒゲナガカワトビケラの幼虫
ポピュラーなトビケラ2種。
左:ヒゲナガカワトビケラ 右:ニンギョウトビケラ
地にも花にも草にも‥ 思い思いに憩う甲虫たち。
上左:オオアカマルノミハムシ 上右:エンマコガネの一種
中:アカハネムシ
下左:クロボシツツハムシ 下右:ルリマルノミハムシ
獣糞に来ていたセンチコガネ。
地味だけれど、味わい深いデザインの蛾たち。
左:広場で見つけたユミモンクチバ
右:交尾するオオエグリシャチホコ
出た!本邦昆虫界きってのトリック・アーティスト、その名はムラサキシャチホコ。
明るい川端の疎林。今はスイスイ歩けるけれど、やがて盛夏の頃になると、植物たちが元気に繁茂して通せんぼします。
春風の中、恋する虫たち。
上左:キリウジガガンボ 上右:オナシカワゲラの一種
下:ナミテントウ(カラダを激しく振るのがオスの愛情表現?)
草原に響く「ジーーーーーー」という鳴き声をたよりに探していると、赤口の彼がいました。
無事に冬を乗り切ったクビキリギスたちも、そろそろ恋の季節です。
(初出 「むし探検メール No.73」)
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