小さなチョウにも ご用心
 大きくてハデで活動的な種類ばかりが、南国のチョウではない。林縁の木陰でひっそりと暮らしているチョウにも、魅力的なキャラクターがたくさん存在する。
 こんな目立たないスターたちは、うっかりしていると見過ごしてしまうので、要注意だ。
 控えめだけど、渋い魅力を秘めたこれらのチョウを見つけたときにこそ、亜熱帯の自然の豊かさを痛感させられる。 
 ゴルフ場の隣接地で見つけたタイワンクロボシシジミ(Megisba malaya。前翅長 わずか1cm強のかわいらしいチョウ。林縁の薄暗いところをチラチラと飛んでいた。奄美諸島以南に定着し、少しずつ分布を北に広げつつある。
 その辺にいる茶系のセセリにしては、少し様子が変だと思ったら、普通は白いはずの紋が黒かった。これは、ヤシ類に発生するクロボシセセリ(Suastus gremius。1970年代に台湾から石垣島に帰化し、その後、少しずつ分布を広げている。
 細長い沖縄本島。島内のいたるところからコバルトブルーの海が見える。写真の遠景に見えているのは東シナ海。樹林と荒れ地の境界地帯は、様々な昆虫を観察するための絶好のポイントのひとつ。