秋の野原で大活躍したカマキリたちは、ただいま卵で冬眠中。
木の葉っぱが落ちたり草が枯れたりして見通しがよくなっている冬から早春にかけては、カマキリの卵をさがすのにうってつけです。
ひとくちにカマキリといっても、その種類によって卵の形も産んである場所もさまざま。
代表的な4種類についてご紹介しましょう。
※カマキリの卵は、たくさんの小さな卵が厚いスポンジ状の物質につつまれてできていて、正確には「卵鞘(らんしょう)」または「卵嚢(らんのう)」と呼ばれます。
■オオカマキリ
ちょっと角張った球形の卵。大きさ約4センチ。→オオカマキリの卵の画像
ススキの枯れた茎や細い枝に産みつけられていることが多く、大きいので比較的見つけやすいです。
とはいっても、枯れ草と同じ色なので最初はなかなか見つからない。でも、がんばってさがしているうちに目が慣れてきて、きっとつぎつぎに発見できるようになります。
いかにもオオカマキリの卵が見つかりそうな枯野
■ハラビロカマキリ
厚みのある紡錘形(ぼうすいけい)の卵。大きさ2〜3センチ。→ハラビロカマキリの卵の画像
太い木の幹などに産みつけられていることが多く、雑木林に行けばけっこう簡単に発見できます。人家の塀や電柱に産みつけられているのを見ることもあります。
■コカマキリ
紡錘形をたて半分に切ったような平べったくて細長い卵。大きさ2〜3センチ。→コカマキリの卵の画像
人家の庭や畑のまわりにもすんでいる種類で、卵は、木の幹の低いところや、倒木、杭、へい、板、壁、石など‥つまり、けっこういろんなところ産みつけられています。
でも、目だたないので、その気になってじっくりさがさないと見のがしてしまいます。
■チョウセンカマキリ
紡錘形をたて半分に切ったような細長い卵。大きさ約4センチ。→チョウセンカマキリの卵の画像
コカマキリと同じく人家や畑のまわりでもよく見つかり、枯れ草の茎や植木の小枝などに産みつけられています。卵はコカマキリに似ていますが、より大きくて厚みがあります。
成虫の姿はオオカマキリにそっくりなのに、卵はコカマキリに似ている、というのがおもしろいですね。
卵を持ち帰りたい場合は、オオカマキリかチョウセンカマキリの卵が、枝ごと採りやすいので便利です。
部分的に変色した卵や形のくずれかけているものは、カマキリタマゴカツオブシムシ(甲虫の仲間)やオナガアシブトコバチ(寄生バチ)に寄生されているおそれがあるので、できるだけきれいなものを選ぶようにしましょう。
また、飼育ケースの中に立てかけられるよう、しっかりした茎や枝にひっついているものを選び、枝の長さによゆうをもって採ってください。
採った卵は、押しつぶしてしまわないよう、ビニール袋などに入れて大切に持って帰りましょう。
持って帰った卵は、プラスチックの飼育ケースなどに入れておけばいいのですが、部屋の中の暖かい場所で保管すると季節をまちがえて幼虫が生まれてしまうことがあるので要注意。
玄関先など、できるだけ外気温に近い場所に置いてあげてください。
幼虫が孵化(ふか)するのは5〜6月頃。その瞬間を観察できるかどうかは運と根気の勝負です。
※卵を冷蔵庫に保管しておいて、外が十分に暖かくなってから取り出せば、孵化シーンを観察できる可能性が高まる、というウラ技もありますが、やっぱり自然にまかせるほうがいいかも‥。
オオカマキリだと、幼虫はひとつの卵から数百匹も出てきますので、全部飼うのはほとんど不可能。幼虫が生まれたら、なるべく卵を採ったもとの場所に帰してあげるようにしてください。
(初出 「むし探検メール 創刊準備号」)
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